【当主 梶原茂弘による「青花」誕生秘話】
60数年前、私が大学生の頃、ある古陶磁研究家の所で、アルバイトをする機会に恵まれました。
その研究家は、鋭い「審美眼」と「鑑識眼」の持ち主で、300年以上も前に創られた有田の古陶磁を前に、たくさんの思いを語って下さいました。
「今の焼き物には、心が入っていない! 味わいもない! だから、将来、捨てられてしまうだろう!
古陶磁を古い物というだけで、重宝がっている訳ではなく、昔の焼き物には、得がたいよさがある!風合いがある!
これがどうして、現代の窯元で創れないのか…?」
そんな話をしながら、窯元の息子である私に一言、「後世に残る焼き物を創りなさい!」
と言葉をかけて頂いた事を、今でも覚えております。
その一言が、後に、私の理想とする「ものづくり」の原点となりましたし、今でも、しん窯の「理念」として生き続けております。
焼き物は、毎日、手に取って使う物です。
だからこそ、いつも使う器は、ふだん使いである物、日常で馴染みのある物でなければならないと思っております。
そんな理想を追い求めながら、私の思いを受け止めてくれた、数人の職人と共に、器をひとつづつ形にする中、1976年(昭和51年) 9月1日に、「青花」ブランドは誕生致しました!
私が32才の時です。
「青花」とは、中国語で「チンホア」と読み、藍色の文様という意味ですが、学生の頃に学んだ、古陶磁の新鮮さと、風合いを大切にしながら、温もりのある「藍と白の染付」にこだわり、「手で描く」という職人の技にこだわり、永遠のテーマである「器との語らい」「器は人なり」という二つのスローガンを掲げながら、これまで歩み続けて参りました。
おかげ様で、来年の2026年には、いよいよ「青花ブランド」も誕生から50周年を迎える事になります。
創早期からこれまで支えて下さった、皆様、お一人、お一人のご愛顧に心から感謝し、これからも、しん窯スタッフ一同、皆様から愛される「暮らしの器作り」に邁進して参りたいと思っておりますので、今後も、相変わらぬ、ご指導とご支援を賜りますよう、心より、お願い申し上げます。